GOSPEL

ゴスペルとは。

日本ではゴスペルといえば、ウーピー・ゴールドバーグ主演の映画、「天使にラブ・ソングを」が有名ですね。劇中でシスター達が歌う教会音楽のことをゴスペルと思う方が多いのではないでしょうか。ここでは、ゴスペルの歴史を一緒に辿ってみましょう。

Gospelの語源は、God spell(神の御言葉、福音)から来ていると言われています。福音とは福音書に記されているキリストの生涯や教えを表す言葉であり、また、喜ばしい知らせ(Good news)という意味もあります。イエス・キリストの死、そして復活という素晴らしいニュースをイエスの弟子たちが布教活動の中で語り継いだ言葉とも言われています。

私たちが一般的にゴスペルと呼ぶものは、ゴスペル・ミュージックを指します。その歴史は、奴隷時代にアメリカ大陸に強制的に連行され、一切の言語、宗教を剥奪されたアフリカ人が、アメリカ南部のプロテスタントの福音書に出会ったところから始まります。ここから彼らは独自の神学を持って、奴隷化の苦しい生活の中でも少しの自由を見出すべく、言葉を持たずして神への賛美を歌と踊りを持って表すようになりました。こうして、アフリカ特有の跳躍するリズム、ブルー・ノート・スケールとヨーロッパの賛美歌などの音楽的・詩的感性が融合して、黒人霊歌 (African-American Spirituals)という現在のゴスペルの基調となる音楽が生まれたのです。

その後、1930年代に牧師の父を持つブルースシンガーのトーマス・A・ドーシーが、ゴスペル音楽に転向して出版社を設立され、ゴスペルが近代音楽として認識されるようになりました。アメリカの当時のポップ・ミュージックであったリズム・アンド・ブルースに影響を受けたゴスペル・グループは、当時充分な楽器を備え付けられなかった黒人教会の状況もあり、楽器なしで歌だけで構成するアカペラという音楽形態もここから生まれました。

1960年代にはR&Bなどの黒人由来の音楽がポピュラー・ミュージックとして広く認知され、ゴスペル色の濃厚な音楽がソウル・ミュージックと自然発生的に呼ばれるようになり、広範囲に渡って発展していきました。多くの有名なソウルシンガーが幼い頃から通っていた教会のゴスペルに大いに影響を受けていたとも言われています。

ちなみに余談ですが、SPARKSのディレクターでもある吉田英樹氏は、学生時代からソウルミュージックに深く傾倒し、ソウルシンガー達の音楽、そしてその基盤となるゴスペルに触れることとなり、自らもソウルシンガー、そしてゴスペル音楽ディレクターという道を辿っています。

このように、ゴスペルは黒人音楽の多様化に合わせて時代ごとにそのスピリチュアルを投影し、音楽のジャンルとして広く世界に認識されていきましたが、プロテスタントの教会では今もなお、集まって神を賛美するためのGod spellを歌やダンスで表現し、みんなでMake a joyful noise!する(喜びの気持ちを賑やかに表す)ことによって神を讃えています。音楽だけでなく、コミュニティに集まって全身全霊で賛美すること、これがゴスペルなのです。

GOSPEL SONGS

Sparks Madokaによる日本語訳です >>